よくわかる!側彎症
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側彎症の主な症状
側彎症とは、背骨(脊柱)が横方向に曲がってねじれてしまう状態のことを指します。このため、体のバランスが崩れることがあり、さまざまな症状が現れることがあります。側彎症の症状は、その程度や進行度によって異なりますが、主な症状は以下の通りです。
姿勢の変化
最も分かりやすい症状は姿勢の変化です。肩の高さが左右で違ったり、片方の肩甲骨が浮き上がって見えたり、ウエストのラインが左右で異なる場合があります。また、背中や腰の一部が出っ張って見えることもあります。こうした見た目の変化に最初に気づかれることが多いです。
腰や背中の痛み
側彎症が進行すると、腰や背中に痛みを感じることがあります。特に、長時間立っている時や座っている時に痛みが強くなることがあります。これは、脊柱のカーブが体に負担をかけるためです。
疲れやすさ
背骨が曲がっていることで、筋肉や関節に負担がかかりやすくなります。そのため、疲れやすく感じることがあります。特に、長時間歩いたり立っていると、体全体が疲れてしまうことがあります。
呼吸のしづらさ
重度の側彎症になると、胸の部分が圧迫され、呼吸がしづらくなることがあります。これは、脊柱のカーブが肺や胸郭を圧迫し、呼吸に影響を与えるためです。特に、運動をした時に息切れを感じやすくなることがあります。
身長への影響
側彎症が進行すると、背骨が曲がることで身長に影響が出ることがあります。特に、成長期に側彎症が進行すると、身長の伸びに影響を及ぼす場合があります。
着衣の際の違和感
洋服を着た時に左右の袖やズボンの丈が違って見えたり、ウエスト部分が傾いているように感じることがあります。これは、体のバランスが変わるためです。こうした着衣の際の違和感も側彎症の兆候の一つといえます。
側彎症の症状は、初期には気づきにくいこともありますが、見た目の変化や痛みが出てきた場合には注意が必要です。特に成長期のお子さんにおいては、早期に側彎症を発見することで、患者さんごとの適切な治療が可能になります。
側彎症の早期発見
側彎症は、早期に発見しまずは専門医を受診することが大切です。適切な治療方針を決めることができ、患者さんにとっての効果的な治療が可能になります。特に成長期のお子さんにとって、早期発見はとても重要です。
家庭でのチェックポイント
側彎症の初期段階は、見た目の変化が主な兆候になります。家庭でも簡単にチェックできるポイントがあります。
- 肩の高さ:左右の肩の高さが違う、片方の肩が下がっているように見える。
- 肩甲骨の位置:片方の肩甲骨が他方よりも突出して見える。
- ウエストのライン:ウエストのくびれが左右で不均等である。
- 体を前に曲げたときの背中の形:背中を前に曲げたとき、片側の背中がもう片側よりも高くなる場合があります。
これらのチェックポイントを家庭で定期的に確認することで、早期発見の手助けになります。
学校での検査
多くの学校では、成長期における側彎症の発見を目的とした健康診断が行われています。この検査では、医師や保健師が背中の形や姿勢のバランスを確認し、側彎症の兆候がないかをチェックします。特に、10歳から15歳の成長期のお子さんは、側彎症が発症しやすいため、学校での定期的な検査は非常に有効です。
専門の医師による検査
家庭や学校で異常が見られた場合は、専門の医師を受診し検査を受けることが大切です。当院では、まず詳細な身体検査と背骨のX線撮影を行い、側彎症の有無や重症度を診断します。特に「Cobb角」という、背骨の曲がり具合を測定する角度を確認し、患者さんに治療が必要かどうかを判断します。
定期的な観察が大切
側彎症の早期発見には、定期的な観察が欠かせません。特に成長期のお子さんは、短期間で症状が進行することがあるため、半年から1年に一度は背中の状態を確認することが推奨されます。また、ご家族に側彎症の既往がある場合は、遺伝的なリスクが高まるため、特に注意が必要です。
自己診断に頼らず、まずは受診を
早期発見が大切だからといって、自己診断だけで安心することは避けましょう。専門の医師による診断が最も確実であり、早期に診断されれば、適切な治療法や経過観察の計画を立てることができます。例えば、軽度の場合は経過観察のみで済むこともありますが、進行が見られる場合はまず装具療法や運動療法、重度の場合は手術治療を考慮します。
受診のタイミングと目安
いくつかのポイントに注目することで適切なタイミングを判断することができます。早めの受診が重要です。以下のサインや状況が見られた際には、受診を検討してください。
家庭でのチェックで異常が見られた場合
家庭で肩の高さの違いや、体を前に曲げたときの背中の左右の高さの違いなど、左右非対称な体のバランスが見られた場合は、早めに医師の診察を受けることが重要です。特に、成長期の子どもでは短期間で症状が進行する可能性があるため、気になる変化があれば早めの受診が推奨されます。
学校の健康診断で異常を指摘された場合
学校の健康診断で「側彎症の疑いがある」と指摘された場合は、専門医による精密検査を受けるタイミングです。学校での簡易検査だけでは正確な診断が難しい場合もあるため、X線など詳細な検査や専門医の所見が必要です。
成長期に入ったとき
成長期、特に10歳から15歳の期間は側彎症が発症しやすいため、この時期に背中の状態に注意を払うことが大切です。特に、背骨の変化が急激に進むことがあるため、成長期に入った子どもは定期的に体のバランスや姿勢をチェックし、異常があれば医師に相談してください。
痛みや不快感を感じたとき
側彎症自体は多くの場合、痛みを伴わないことが多いですが、背中や腰に痛みや不快感を感じた場合は、専門医の受診をおすすめします。特に痛みが持続する場合や、他の症状(例えば呼吸困難や倦怠感)が伴う場合は、早めに受診しましょう。
体の外見が気になるとき
側彎症が進行すると、ウエストのくびれの不均等や、肩甲骨が片側だけ突出するなど、外見上の変化が現れることがあります。
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家族に側彎症の既往がある場合
側彎症には遺伝的な要因が関係することがあるため、ご家族に側彎症の既往がある場合は、早期から定期的な観察が重要です。
側彎症の早期発見と治療は、将来的な合併症を防ぐためにも重要です。家庭での簡単なチェックで異常が見られた場合や、成長期に入ったお子さんの背骨の変化が気になる場合は、早めに専門医の診察を受けることをお勧めします。また、学校の健康診断で指摘された場合も、精密検査を受ける良いタイミングです。何か気になることがあれば、遠慮せずに医師に相談してください。