よくわかる!側彎症

側彎症の検査

全脊椎のX線撮影

背骨全体を1枚の画像で確認するためのX線検査です。脊柱側彎症の診断や進行度の評価に使われ、背骨の曲がり具合やCobb角を正確に測定することが可能です。この撮影では、首から骨盤までの全ての背骨を映し出し、どの部位で曲がりが生じているか、またその程度を把握することができます。検査は立った状態で行うことが多く、姿勢の影響を最小限に抑えることが目的です。

全脊椎のX線撮影

全脊椎のMRI

背骨全体を詳細に検査するためのMRI(磁気共鳴画像)検査です。X線では骨の構造を中心に見るのに対し、MRIは軟部組織や神経、椎間板なども詳しく観察できるため、神経の圧迫や椎間板の状態を評価するのに適しています。特に、脊柱側彎症に関連する神経の問題や、椎間板の異常を検出するために有用です。MRIは放射線を使わないため、被ばくの心配がなく、安全な検査方法です。

胸腰椎のCT

胸椎と腰椎を含む背骨の中間部分の状態を調べるためのCT(コンピュータ断層撮影)検査です。CTはX線を使って身体の断面画像を作成し、骨の詳細な構造を3次元的に評価できます。特に、骨の変形、骨折、関節の異常や椎間板の問題を詳細に確認するのに適しています。脊柱側彎症の進行度合いや骨の構造的な変化を詳しく調べるために使用されることが多いです。

採血(骨代謝マーカー)

骨代謝マーカーは、骨の新陳代謝(骨の形成や破壊)の状態を把握するための血液検査です。
骨は常に新しい骨を作る「骨形成」と古い骨を壊す「骨吸収」を繰り返しています。これらの過程で生成される物質が血液や尿中に現れるため、それらを測定することで骨の代謝状況を把握できます。脊柱側彎症の進行や治療効果を評価するために利用されることがあります。
骨代謝マーカーには、骨が作られる過程を示す「骨形成マーカー」と、骨が壊される過程を示す「骨吸収マーカー」があります。この検査により、骨密度や骨の強度に関する情報を得ることができ、特に骨粗鬆症のリスクを評価する際に有用です。

骨代謝マーカーの種類

骨形成マーカー

新しい骨が作られるときに増加する物質

  • 骨型アルカリフォスファターゼ(BAP):骨の形成を示す酵素
  • オステオカルシン:骨形成中に骨芽細胞から分泌されるタンパク質
骨吸収マーカー

古い骨が分解されるときに増加する物質

  • N-テロペプチド(NTX):骨のコラーゲンが分解されるときに血中や尿中に現れる
  • C-テロペプチド(CTX):骨の吸収を反映するコラーゲンの分解産物

骨代謝マーカーは、骨粗鬆症の診断や治療効果の評価に役立ちます。骨密度検査と併用することで、骨のリモデリングの状態を把握し、治療が有効かどうかをモニタリングするために使われます。

骨密度(大腿骨・腰椎)

大腿骨や腰椎の骨の密度を評価するための検査です。特に、脊柱側彎症の患者さんでは、骨の強度が手術や治療の適応に影響することがあるため、骨密度の評価は重要です。大腿骨と腰椎は骨密度を測定する代表的な部位で、これらの数値が低い場合、骨が脆くなるリスクが高まります。この検査結果に基づき、骨粗鬆症のリスク評価や治療方針が決定されることがあります。

血液検査結果の見方

総蛋白

血液中にはアルブミンやグロブリンといったタンパク質が含まれており、体の機能において重要な役割を担っています。栄養不足や栄養の吸収障害によってこれらのタンパク質が減少するほか、肝臓や腎臓の問題、または免疫機能の異常によっても、体内の代謝に影響が出て増減することがあります。

アルブミン(Alb)

アルブミンは、血液中に含まれる主要なタンパク質の一つで、特に肝臓で作られるタンパク質です。数値が低いと、むくみや免疫力の低下を引き起こすことがあります。

AST(GOT)、ALT(GPT)

肝臓の健康状態を評価するための酵素です。ASTは肝臓や心臓、筋肉に存在し、これらの臓器の障害で上昇します。ALTは主に肝臓に特異的で、肝障害の際に特に上昇します。両者の数値が高い場合、肝臓や他の臓器の異常が疑われます。

ALP(アルカリフォスファターゼ)

肝臓や骨、胆管などで作られる酵素です。主に肝臓や骨の異常、特に胆管の閉塞や骨の病気があるときに数値が上昇します。

γ-GTP

γ-GTPは、肝臓や胆道で作られる酵素で、アルコールの摂取や肝臓・胆道の障害があると数値が上昇します。特に、飲酒の影響を受けやすい指標です。

尿素窒素 (BUN)

尿素窒素 (BUN)は、体内のたんぱく質が分解された際にできる老廃物で、腎臓から排出されます。腎臓の機能を評価する指標で、腎機能が低下すると数値が上昇します。

クレアチニン

クレアチニンは、筋肉の代謝によって生じる老廃物で、腎臓でろ過されて排出されます。腎機能の指標として使用され、数値が高いと腎機能の低下が疑われます。

eGFR

eGFR(推算糸球体濾過量)は、腎臓が血液をどれだけろ過できるかを推定する指標です。血清クレアチニン値から計算され、腎機能の状態を評価するために使われます。数値が低いと腎機能の低下が疑われます。

尿酸(UA)

体内でプリン体が分解される際に生成される老廃物です。通常は腎臓から排出されますが、尿酸値が高いと痛風や腎結石のリスクが増えることがあります。

Na(ナトリウム)

体内の水分バランスや血圧の調整、神経や筋肉の正常な働きに重要なミネラルです。血液中のナトリウム濃度の異常は、脱水や腎機能の問題を示すことがあります。

K (カリウム)

細胞内の浸透圧を調整し、筋肉の収縮や神経伝達を助ける重要なミネラルです。血中カリウムの異常は、心臓や腎臓のトラブルを引き起こすことがあります。

総コレステロール(T-cho)

血液中の全てのコレステロール量を示し、主に細胞膜の構成やホルモンの合成に関与しています。高すぎると心疾患や動脈硬化のリスクが高まります。

HDL-C

「善玉コレステロール」と呼ばれ、余分なコレステロールを肝臓に運び、体外に排出する働きを持っています。高いほど心疾患のリスクが低くなります。

LDL-C

「悪玉コレステロール」と呼ばれ、肝臓から全身の細胞にコレステロールを運ぶ役割を持っています。過剰に増えると血管壁に蓄積し、動脈硬化や心疾患のリスクが高まります。

中性脂肪(TQ)

エネルギー源として体内に蓄えられる脂肪で、食事から摂取した脂質や体内で生成されたものです。過剰になると肥満や動脈硬化の原因となり、健康リスクが増加します。

CK(クレアチンキナーゼ)

筋肉や脳、心臓などに存在する酵素で、エネルギー代謝に関与しています。筋肉や心臓にダメージがあると血中での数値が上昇し、筋肉の損傷や心筋梗塞の診断の指標となります。

白血球(WBC)

免疫系の重要な細胞で、体内に侵入した細菌やウイルス、異物と戦う役割を持っています。感染症や炎症があると白血球の数が増加し、逆に減少することもあります。血液検査で体の炎症状態や免疫力を確認する際の指標となります。

赤血球(RBC)

血液中に含まれる細胞で、酸素を全身に運ぶ役割を持っています。赤血球内のヘモグロビンが酸素と結びつき、体の各組織に酸素を供給します。赤血球の数が少ないと貧血、多すぎると多血症のリスクが高まります。

ヘモグロビン

赤血球内に含まれるたんぱく質で、酸素を全身に運ぶ重要な役割を果たしています。肺で酸素と結びつき、体の各組織に酸素を届け、その後二酸化炭素を受け取り再び肺に戻します。ヘモグロビンの値が低いと、貧血などの健康問題を示すことがあります。

ヘマトクリット

血液中の赤血球の割合を示す指標です。血液全体に対してどの程度の赤血球が含まれているかをパーセンテージで表します。通常、ヘマトクリットの値が低いと貧血が疑われ、高いと脱水や多血症などの可能性があります。

血小板

血液中に含まれる細胞成分で、主に出血を止めるための「血液凝固」に重要な役割を果たします。傷ができると、血小板が集まり血栓を形成して止血を助けます。血小板の数が少ないと出血しやすくなり、多すぎると血栓ができやすくなります。

血糖

血液中に含まれるブドウ糖のことで、体のエネルギー源として重要です。通常、インスリンというホルモンによって血糖値が調整されます。高すぎると糖尿病のリスクがあり、低すぎると低血糖症を引き起こすことがあります。

HbA1c

過去1〜2か月の平均的な血糖値を示す指標です。ヘモグロビン(赤血球内のたんぱく質)にブドウ糖が結びついたものの割合を測定し、血糖のコントロール状態を把握するために使用されます。糖尿病の診断や治療の効果を評価する際に重要な指標です。