よくわかる!側彎症

側彎症の予防

側彎症の進行は個人差があり、特定の方法で確実に防ぐ手段はありません。いくつかの工夫で進行を抑えたり遅らせることができる場合もあります。

正しい姿勢を意識する

日常生活で姿勢に注意し、座っている時や歩いている時に背筋を伸ばすことが大切です。長時間の前かがみや片方だけに体重をかけて立つ癖を控え、左右のバランスを意識しましょう。

筋力と柔軟性の向上

背中や腰の筋肉、腹筋を鍛えることで、脊椎を支える力が向上します。軽い筋トレやストレッチ、ヨガなどが推奨され、特に背中や腹部を意識したエクササイズが効果的です。

成長期の定期チェック

成長期の子どもに多い「思春期側彎症」は、早期発見が重要です。家庭でのチェックや定期的な健康診断で背骨のゆがみを確認し、異変があれば早めに側彎症の専門医を受診しましょう。

偏りのない筋肉の使い方

お子さんの場合、片方の肩にだけ重いバッグをかけたり、体の片側ばかり使うスポーツや習慣を続けると筋肉が偏って発達する可能性があるため、体の左右バランスに配慮した動きを心がけることも大切です。

生活環境の見直し

机や椅子の高さを自分に合ったものに調整し、長時間の座り仕事や勉強時も無理な姿勢を避けることが大切です。また、背中を支えられるようなクッションやサポートグッズを利用するのも効果的です。

骨を強くする

ご高齢の方は骨密度が減少して骨粗鬆症を発症しやすくなります。骨がもろくなり圧迫骨折が原因で側彎症を発症することもありますので、日ごろから骨を強くするような生活を心がけましょう。骨を強くすることで手術の際もインプラントが抜けにくい状態になります。

骨を強くするには、日ごろから適度な運動と、カルシウムやビタミンDなどの栄養素をとることが大切です。適度なウォーキングやジョギングなど、骨に刺激を与える運動を取り入れましょう。カルシウムを多く含む食品には、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、小魚や小えびなどの魚介類、海草類、小松菜などの緑黄色野菜、豆腐などの大豆製品などがあります。

また、日光を浴びると、カルシウムの吸収率を高めるビタミンDが皮膚でつくられます。一方、スナック菓子などインスタント食品にはカルシウムの吸収を阻害する食塩が多く含まれています。アルコールもカルシウムの吸収を阻害する働きがあるため、過剰な飲酒には注意しましょう。

まとめ

側彎症の予防はできませんが、進行を遅らせることは可能な場合もあります。そのためには早期発見と日常生活での習慣づくりが大切です。日々の姿勢や筋肉のバランスにも気を配り、気になる症状があれば早めに専門医に相談することが大切です。

脊柱側彎症の進行予防体操

簡単なストレッチや体操で筋力をつけたり、普段の姿勢を矯正することで、側彎症の脊柱カーブの進行を防ぐことが可能な場合もあります。 ここではいくつかの体操をご紹介します。
※体操を行っても側彎症が進行することもございます。医師にご相談してください。
また、手術後に体操を行う場合は医師とリハビリの担当者に確認のうえで行ってください。

背筋強化

後頭部に手を当てて頭と押し合います(等尺性運動)。
1回10秒程度1日数回

体幹筋強化

側頭部に手を当て頭と押し合います。 両側を行います。

両つま先開き

椅子に座り、両かかとを肩幅に開きつま先をしっかり外側へ向けます。
背筋を伸ばします。(30秒程度)

背中のストレッチ

背中に枕を置いて仰向けになり、背筋を伸ばします。(30秒程度)

姿勢矯正の体操

頚椎・腰椎をしっかり伸ばします。

右に倒します 左に倒します

側彎症の治療法

側彎症の治療は、症状の進行度や患者さんの年齢、全体的な健康状態などに応じて異なります。

経過観察

軽度の側彎症の場合は、特に治療を行わず定期的な経過観察が推奨されます。特に成長期の子どもでは、側彎症が進行するリスクがあるため、6か月ごとにX線検査や診察で背骨のカーブの変化を確認します。

装具療法

中等度の側彎症や、まだ成長が続いている若年者には、装具療法が用いられることが一般的です。コルセットなどの装具を着用して背骨の進行を抑制する方法で、早期に使用を始めることで効果が期待できます。装具はカスタムメイドで作成され、通常1日中装着しますが、患者さんの生活状況や症状に合わせて適応されます。

手術治療

重度の側彎症や、側彎が急速に進行している場合、痛みや機能障害がある場合には、手術が選択されることがあります。代表的な手術として「後方矯正固定術」があり、背中から金属製の棒やスクリューを使って背骨をまっすぐに整え、矯正固定します。術後の回復には個人差がありますが、通常は術後すぐにリハビリを行い日常生活に復帰していただきます。