よくわかる!側彎症

側彎症と診断された人は、まず何をすればいいのか戸惑っているかもしれません。どこの病院を受診すれば良いのか迷っていることと思います。側彎症患者さんやご家族は、まず専門医を受診することが大切です。
まずは専門の医療機関を受診
側彎症かなと思ったら、または診断されたら、まずは脊柱側彎症の治療をおこなっている医療機関を受診しましょう。自己判断するのではではなく、専門の医師の診察により具体的な今後の治療方針を立てることができます。
自分の体を知る
医師の判断で経過観察となった場合、定期的な観察は、側彎症の進行を判断するためにとても重要です。特に成長期の子どもや、加齢と共に悪化しやすい成人のケースでは、側彎の程度がどのように変化しているかを早期に把握することで、適切な治療が可能になります。
定期観察のメリット
進行の早期発見
側彎症は成長期の子どもやご高齢で進行が早くなることがあり、定期的に検査を受けることで進行のサインを早く見つけられます。これにより早期に治療方針を立てることが可能です。
最適な治療タイミングの把握
側彎が進行していない軽度の段階では、装具の使用や運動が効果的なケースもありますが、進行が見られる場合は手術の選択が必要になることもあります。進行状況に応じた治療を早めに行うことで、患者さんの負担も減らすことができます。
生活習慣の改善や運動療法の効果確認
定期的な観察を通じて、患者さんの日常生活が体にどのように影響しているか確認できます。症状に合わせた運動や姿勢改善の方法を見つけやすくなります。
レントゲン検査やMRIの活用
側彎症の診察では、症状の進行や背骨の状態を把握するために以下のような検査が行われます。
1.診察時の流れ
- 問診 最初に医師が痛みやしびれ、生活に支障があるかなど症状のヒアリングを行います。特に、姿勢や日常生活の中で感じる不便さ、過去の治療歴があればその内容も確認します。
- 視診・触診 体を観察し、背骨や肩、腰のラインに歪みがないかを確認します。これには、腰を曲げた姿勢で背骨の突出具合を確認する「前屈テスト」も含まれます。このテストで左右に非対称な突出がある場合、側彎症が疑われます。
2.主な検査方法
- X線検査(レントゲン) 背骨の湾曲具合を正確に評価するために、X線検査は必須です。正面や側面のレントゲン写真から、湾曲の角度を測定し、Cobb角と呼ばれる指標で側彎の程度を評価します。この検査により、進行度や治療方法を検討します。
- MRI検査 神経に関わる症状がある場合や合併症の可能性がある場合に、MRI検査を行うことがあります。特に、脊髄や神経の圧迫状況をより詳細に確認するために用います。
3.検査頻度
軽度で進行の可能性が低い場合は、6〜12か月ごとに医師の定期的な診察が推奨されます。特に成長期の子どもや症状が進行している成人では、より頻繁にチェックが必要です。
側彎の進行が見られる場合は、3〜6か月ごとに経過観察を行い、レントゲンやMRIを追加で実施することがあります。装具療法が適切か、手術の適応か確認するために、検査頻度を増やすこともあります。
生活の工夫
日常生活での姿勢や習慣を見直すことが大切です。日々の正しい姿勢が背骨への負担を減らし、症状の進行を防ぐサポートになることもあります。
- 座る姿勢: 椅子に座るときは、背もたれにしっかり寄りかかり、骨盤を立てた状態を意識します。脚を組むなど偏った姿勢は避け、両足をしっかり床につけることがポイントです。
- 立つ姿勢: 立つ際には、重心を両足に均等に分け、背筋を伸ばすよう心がけます。片方に重心をかけて立つことは避けましょう。
- 習慣的な体の使い方: スマートフォンやパソコンを長時間使うときは、画面を目線の高さに調整することで猫背を防ぎ、肩や首の緊張を緩和します。
- 運動習慣: 日常的にストレッチや体幹を強化する運動を取り入れることも有効です。ヨガやピラティスなど、姿勢を整えるエクササイズも体全体のバランスを向上させます。
ご家族や医師とのコミュニケーション
患者さんが側彎症と向き合うためには、ご家族や医師との良好なコミュニケーションが欠かせません。ご家族は患者さんの日常生活を支え、メンタル面でもサポートできる存在です。治療方針や日々の状況についてご家族とよく話し合い、協力体制を築くことが重要です。ご家族が理解していることで、日常の姿勢や習慣のサポートがよりスムーズになります。
医師とのコミュニケーションも大切です。症状の進行や体調の変化、装具の使用感、手術の疑問点や治療方針についてなど、気になる点は遠慮せずに医師に伝えましょう。まずは定期的な診察で今後の治療や生活のアドバイスをもらうことで、最適な治療を継続でき、安心して生活することができます。
治療に前向きに向き合うために
1.小さな目標を立てる
健康的な姿勢を意識する、運動を少しずつ続けるなど、毎日取り組める小さな目標を立てることで、達成感が得られ、前向きな気持ちで取り組めます。
2.リラックスできる時間を確保する
患者さんには心身のリフレッシュが大切です。趣味やリラックスできる時間を積極的に作り、気持ちをリセットすることで、治療や生活への意欲も保てます。
3.サポートを受け入れる
ご家族や友人、医療機関からのサポートは、側彎症と向き合う心の支えになります。遠慮せずに周りのサポートを受け入れ、不安や困りごとも共有することで、心が軽くなり、前向きに取り組みやすくなります。