ここでは脊柱側彎症手術の事前準備から入院までについて説明いたします。
画像検査はレントゲン(X線)検査、CT検査、MRI検査の三つです。
立位で正面・側面から撮影・・・脊柱のカーブの強さや硬さ(パターンや範囲)を調べます。
仰向けで撮影・・・手足を牽引してどこまでカーブが減るか、背中に枕を入れて丸くなった背中がどこまで反れるかを確認します。
スクリューを挿入する椎弓根や、椎体の形やサイズをチェックします。CT値を測定して骨強度を評価します。
脊髄、馬尾神経、神経根の狭窄がないか、また脊髄空洞症がないかなどをチェックします。
手術前の準備として、自己血貯血があります。これは手術中や手術後の出血のため貧血になることがあるからです。
日本赤十字社が用意する血液を輸血することも可能です。若い方から70代くらいまでの方は事前に自分の血を貯めておいて、それを手術中や手術後に使用します。
自己血の貯血は手術の約1ヶ月前から定期的に開始し、後方矯正固定術の場合は600~1200ml、前方矯正固定術の場合は400~800ml血液を貯めます。
体重が少なかったり、貧血や合併疾患のために貯血が不可能であったり、多くの血液を貯血できない場合もあります。その場合に出血が多ければ日本赤十字社の輸血をすることもあります。手術中の出血は少なければ300~400cc(通常1000cc以下)、極めて稀ですが多い場合は2000cc程度のこともあります。
心電図、心臓超音波、呼吸機能検査、血液検査、尿検査などを行ないます。
脊柱のカーブが大きく、呼吸機能が悪い場合は深呼吸などの訓練を行ないます。
成人や年配の方は骨密度やCT値など測定し、またまた骨代謝マーカー(採血)を調べて、場合によっては手術前までに骨強化(1~2種類の注射)を行ないます。
※若い方の場合は必要ありません。
入院期間は1週間から10日間前後となります。年配の方は2週間くらいになることもあります。 ※あくまで目安です
個室
大部屋(4人床)
手術後3日目には痛みは軽減し、1週間程度で痛みはほとんどなくなります(※例外もあります)。特にお子さんや若い方は急速に痛みが取れる傾向にあります。年配の方は痛みが少し長引く場合もございます。痛みのある間は痛み止めの薬を投与して痛みのコントロール・管理を行ないます。
退院後、1ヶ月以内に外来を受診していただき経過観察します。
入院中にコルセットを採寸し製作しますので、手術日から3ヶ月間装着していただきます。
3ヵ月後と6ヵ月後にもそれぞれ受診いただき、その次の受診は1年後となります。
多くの場合6ヵ月後には骨癒合が完成し、ほぼ自由になります(※例外もあります)。
それまでの間は通常通りの生活を送っていただきます。ただし、強い前屈や重量物を持つことは避けていただきます。
「脊椎センター・脊柱側彎症センターで手術を受けられる患者さまへ
日本整形外科学会症例レジストリー(JOANR)構築に関する研究について」