入院・手術
脊柱側彎症の入院
入院前の診察・検査
全身状態のチェック
- 採血(一般)
- ABI(血圧脈波検査)
- DVT(下肢静脈エコー)
- 尿検査
- 心電図
- 簡易呼吸機能
- 心臓エコー
※脊柱のカーブが大きく、呼吸機能が悪い場合は深呼吸などの訓練を行ないます。
骨評価
- 骨密度(大腿骨・腰椎)
- 採血(骨代謝マーカー)
成人や年配の方は骨密度や CT値など測定します。また骨代謝マーカー(採血)を調べて、場合によっては手術前までに骨強化(1~2 種類の注射)を行ないます。
※若い方や骨が強い場合は必要ありません。
画像検査
画像検査はレントゲン(X線)検査、CT検査、MRI検査の三つです。
レントゲン(X線)検査
立位で正面・側面から撮影・・・脊柱のカーブの強さや硬さ(パターンや範囲)を調べます。
仰向けで撮影・・・手足を牽引してどこまでカーブが減るか、背中に枕を入れて丸くなった背中がどこまで反れるかを確認します。
CT検査
スクリューを挿入する椎弓根や、椎体の形やサイズをチェックします。CT値を測定して骨強度を評価します。
MRI検査
脊髄、馬尾神経、神経根の狭窄がないか、また脊髄空洞症がないかなどをチェックします。
手術前に行うこと
自己血貯血
手術中の輸血や術後の貧血改善のため、患者さん自身の血液を事前に貯めておき、手術時に使用する輸血方法を自己血輸血といいます。若い方から70代くらいまでの方は事前に自分の血を貯めておいて、それを手術中や手術後に使用します。
自己血は手術日の35日前から1〜3回に分けて貯血を行い準備します(基本は1回200mlまたは400ml)。
体重が少なかったり、貧血や合併疾患のために自己血貯血が不可能であったり、多くの血液を貯血できない場合もあります。その場合に出血が多ければ、日本赤十字社の輸血をすることもあります。手術中の出血は少なければ300〜400cc(通常1000cc以下)、極めて稀ですが多い場合は2000cc程度のこともあります。
インフォームドコンセント(説明・同意)
手術の前に医師から、病状、治療目的、治療方法、期待される効果、リスク等について詳しく説明があります。患者様には内容について十分理解・納得したうえで同意いただき手術を受けていただきます。
入院期間・スケジュール
入院から退院までの流れ
入院期間について
入院期間は1週間から10日間前後となります。年配の方は2週間くらいになることもあります。※あくまで目安です
個室
大部屋(4人床)
手術の一日前
入院していただきます。入院中のスケジュールに関する説明があります。
手術当日
手術日、当日(一泊)は集中治療室で過ごしていただきます。
手術翌日以降
- 翌日、一般病棟に戻り定期的に体位交換を行います。(床ずれ予防、無気肺や肺炎の予防、腸管の動きを良くするため。)
- 手術後4~5日間は抗生物質の点滴を行います。
- 食事は排ガスがあったら開始します。手術翌日から水分を少しずつ飲むことは可能です。万が一、長い間食事が開始できない場合は点滴を行ないます。
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術後2日目からセラピストが介入し、立位、歩行訓練などのリハビリテーションが始まります。退院時には日常生活ができるまでに回復します。
- 手術後5~6日でドレーン(傷の中に血がたまらないようにするもの)を抜去します。
- ほとんどの方が術後3日目には痛みが落ち着き歩くことができるようになります(※例外もあります)。
手術後3日目には痛みは軽減し、1週間程度で痛みはほとんどなくなります(※例外もあります)。特にお子さんや若い方は急速に痛みが取れる傾向にあります。年配の方は痛みが少し長引く場合もございます。痛みのある間は痛み止めの薬を投与して痛みのコントロール・管理を行ないます。
入院から退院までのスケジュール例
大分県から受診され手術を受けた50代女性のスケジュール(例)
※個人差があります
遠方より受診・手術される患者様については柔軟にスケジュール調整いたします。お気軽にご相談ください。
退院後について(過ごし方、経過観察受診)
術後1か月・3か月・6か月・12か月時に外来で診察し経過をみます。入院中にオーダーメイドで作製したコルセットを手術後から3か月間装着していただきます。骨癒合するまでの6か月間は走ること、強い前屈、重いものを持つことは控えていただきます。
その他の日常生活動作に制限はありません。その後は半年〜1年ごとに経過観察を行います(個人差があります)。