脊椎の疾患

脊椎の疾患

脊椎に発生する疾患は、脊柱側彎症という若い方や年配の方に脊柱変形をきたす疾患や、加齢による脊椎の変化で生じる変形性脊椎症脊椎すべり症椎間板ヘルニアなどによる神経の圧迫(狭窄症)という高齢者に生じる疾患、悪性腫瘍や炎症性疾患、外傷、先天性の異常など様々な疾病があります。

脊椎疾患の種類

脊柱変形 思春期に生じる特発性側彎症があります。また、症候性側彎症といって種々の疾病にともなって発生する脊柱変形も多くあります。
さらに、40代以後に目立ってきたり、問題を生じてくる成人側彎症も急速に増加しています。
脊柱側彎症について
先天性形態
形成異常
先天性癒合椎や1/2椎などの脊椎の骨の形成不全など。脊柱変形を生じます。
変性・加齢 脊椎すべり症、椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症、頚椎症性頚髄症など。脊柱管狭窄症は高頻度で発生します。また、脊柱靭帯骨化症もあります。
腫瘍 転移性脊椎腫瘍や原発性脊椎腫瘍など。
炎症 慢性関節リウマチに伴う破壊性脊椎症や、細菌感染による化膿性椎間板炎・脊椎炎など。
外傷 脊椎圧迫骨折、脊椎脊髄損傷、鞭打ち症など。
代謝異常 先天的な脂質や糖の代謝異常など種々あります。脊柱変形を生じることがあります。
血管障害 急性硬膜外出血など。
その他 人工透析中に発生してくる破壊性脊椎症など。

脊椎疾患の症状

脊柱側彎症、脊柱変形による症状

外見上の問題

肩の高さの左右差が出る、ウエストラインが左右対称でなくなる、など外見上の変化がみられます。

心理的な負担

特発性側彎症は思春期の女性に多く発症しますので、側彎症によりスカートが傾いてしまったり、体型を気にされて着たい洋服が着られないなど、大きな心理的ストレスを引き起こす原因となることがあります。

痛み

側彎症では変形のある背部や腰部に痛みが出現することがあります。

呼吸器症状

脊柱のカーブが進行し重度になると、胸を押され苦しさが出たり、肺活量の減少や息切れを感じるようになります。

脊柱側彎症について

頚椎の疾患による症状

  • 頚肩腕のしびれや痛みが頻繁に生じます。
  • 脊髄が強く圧迫されるような状態になると、しびれや痛みだけでなく麻痺が生じます。
  • はしが使いづらい、書字がうまくできない、ボタンを上手にかけることができないなど、手指の巧緻(こうち)運動障害が生じます。
  • 下肢を支配する神経も頸部の脊髄の中を通っているので、下肢のしびれや歩行障害を生じる、下肢のコントロールがしづらく転倒しやすくなる、階段を降りるのが恐ろしいというような症状(痙性歩行)が生じます。
  • 重度の麻痺になると、排尿や排便のコントロールにも障害をきたします。

胸椎の疾患による症状

  • 体幹・下肢のしびれや痛みが発生することがあります。
  • 脊髄が胸椎部で強く圧迫されるような状態になると、下半身の運動麻痺や知覚麻痺が生じます。
  • 下肢のコントロールがしづらく転倒しやすくなる、 階段を降りるのが恐ろしいというような症状(痙性歩行)が生じます。

腰椎の疾患による症状

  • 下肢のしびれや痛みが発生します。
  • 腰部から臀部、大腿部後面、そして下腿の後面や側面にかけて痛みが出現します。(坐骨神経痛)
  • 足関節や足指の筋力が低下して歩きにくいこともあります。
  • 少し歩くと下肢が痛くなったりだるくなったりして歩けない、少し休むと歩けるようになるが再び歩けなくなり…といったことを繰り返す歩行障害が生じます。(腰部脊柱管狭窄症における間欠性跛行)
  • 重度の麻痺になると、排尿や排便のコントロールにも障害をきたします。
Q.「頚椎、胸椎、腰椎で疾患は異なるんですか?」

A.疾患としては、基本的に異なることはありません。
前項でも説明しました疾患が頚椎でも胸椎でも腰椎でも発生します。
例えば椎間板ヘルニアは、頚椎でも胸椎でも腰椎でも発生します。ただし、部位によって疾患の発生頻度は多少異なります。頚椎に発生しやすい疾患もあれば、腰椎に発生しやすい疾患もあります。